太陽光投資用語(制度・手続編)
制度・規制等
固定価格買取制度(FIT制度)
再生可能エネルギー発電設備(太陽光、風力、地熱、バイオマス、中小水力)によって発電された電力を、一定期間、国が定める固定された金額で全量を買い取ることを義務付けた制度。日本では2012年7月、太陽光発電の場合の買取価格は40円/kWh(税抜)、期間20年でスタートした。海外ではFeed-In-Tarifと呼ばれるために「FIT(フィット)制度」という呼称が定着している。
調達価格
固定価格買取制度における、1kWh当たりの買取単価。再生可能エネルギーによって発電された電力を買い取る側からすると、電力を調達することになることから「調達価格」と呼ばれる。2020年の調達価格は、10kW以下の発電設備は21円/kWh(税抜)、10kW以上50kW未満の発電設備は13円/kWh(税抜)、50kW以上250kW未満の発電設備は12円/kWh(税抜)、250kWh以上の発電設備は入札制度となっている。
全量買取
再生可能エネルギー発電設備によって発電された電力のすべてを売電できる制度。日本では2012年7月に初めて固定価格買取制度がスタートし、10kW以上の再生可能エネルギー発電設備については全量買取が義務付けられた。
余剰買取
再生可能エネルギー発電設備によって発電された電力のうち、まずは設置場所で電力を消費し、残りの部分のみ売電できるとする制度。
固定価格買取制度導入以前にも、余剰買取の制度は先行して導入されていたが、太陽光パネルをはじめとする設備が高額であったためになかなか再生可能エネルギーの導入が進まなかった。
その後、全量買取のFIT制度がスタートし一気に太陽光発電の普及が進んだ結果、買取価格は年々低下し、自家消費分の買電単価を下回るにまで至るようになった。
したがって現在では売電するよりもまずは自家消費に回した方が得になっており、余剰買取が見直されている。
再エネ特措法
2017年4月1日に施行された、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の一部を改正する法律のこと。
電力会社との接続契約の同意がFIT認定に先立って必要となったこと、FIT認定取得から運転開始までの期間が設けられ期間を超過したFIT期間を短縮する措置をとったことなど、太陽光発電事業に大きく影響する改正が含まれている。
出力抑制
太陽光発電、風力発電の出力を抑制することを一般送配電事業者が発電事業者に対して要請すること。具体的には発電設備の解列(PCS電源のオフ)を行う。
出力抑制の時間数は年を追うごとに拡大し、2015年1月以降、順次無補償・無制限の出力抑制ルールが適用されるエリアが拡大し、さらに出力制御を行うため遠隔出力制御システムの導入が接続契約の必要条件となっている。
現在では九州電力管内を中心に出力抑制が頻繁に行われており、他の電力会社においても出力制御に対応したPCSの設備交換や遠隔監視装置の導入を求める動きが進んでいる。
電力自由化
電力小売事業、発電事業における新規参入を自由化する一連の電力制度改革。
日本では、1995年の第1次電気事業制度改革による独立系発電事業者(IPP)の自由化からスタートし1999年以降、順次自由化部分が拡大された。2016年4月には電力小売事業も全面自由化され、一般消費者がどこから電力を購入するかを選択できる時代になっており、料金メニューの多様化やセット販売などのサービスが現れてきている。
設置前届出等
事業計画認定
再生可能エネルギー発電事業計画認定申請書および必要書類を経済産業大臣あてに提出することで、経済産業省より発電事業の認定を受ける行為のこと。2017年4月1日の再エネ特措法の施行により、電力会社との接続契約や工事負担金に関する契約の同意をあらかじめ得ておく必要があることに変更された。以前は「再生可能エネルギー発電設備認定申請書」を提出していたために「設備認定」と呼ばれていた。
設備ID
事業計画認定時(従来では設備認定時)に各発電設備に割り当てられるIDのこと。
再エネ特措法の施行により、設備IDの他、登録者ID、設置者ID、申請IDが別に用意されたが、個別の発電設備ごとに割り当てられるIDが設備IDで、発電設備の変更認定申請時に必要となる。
再生可能エネルギー発電事業計画変更認定申請書
再エネ特措法第10条第1項の変更認定に係る申請書で、事業主体の変更、発電出力の変更など重要な変更を伴う場合に、変更後の事業主体が提出する。
太陽光発電の場合には、事業主体の変更の他、①電力会社の接続検討の結果を受けて出力を増加する場合、②10kW未満設備が引き続き10kW未満の場合を除く出力の増加などを行う場合が該当する。
再生可能エネルギー発電事業計画変更事前届出書
再エネ特措法第10条第2項の事前変更届出に係る届出書で、変更認定申請に該当する事項以外の事項の事業計画の変更を行う場合に提出する。例としては、設備所在地の変更、接続契約締結先の変更、O&M体制や保守管理・維持管理計画の変更などが該当する。
再生可能エネルギー発電事業計画変更事後届出書
再エネ特措法第10条第3項の事後変更届出に係る届出書で、事業計画に関わらない変更を行う場合に提出する。例としては、事業者の氏名・名称、住所、代表者氏名、役員氏名の変更、合併・会社分割等に伴う事業者等の変更が該当する。
工事計画届出書
電気事業法第48条に基づき、出力2,000kW以上の太陽光発電設備についての工事を行うときに、着工の30日前までに経済産業省宛に提出する必要がある書類。工程表、技術基準適合比較表、構造計算など専門的な資料の添付が求められる。
設置後報告等
再生可能エネルギー発電設備設置・運転費用報告年報
再生可能エネルギー発電設備の所有者は設備の設置費用の報告と発電設備の年間の運転費用報告を経済産業大臣宛に行うことが、再エネ特措法施行規則によって義務付けられている。太陽光発電設備の所有者は、設置費用の報告は全設備、年間運転費用の報告は原則として10kW以上の発電設備の所有者が行わなければならない。報告は再生可能エネルギー電子申請HPにログインして行う。
供給計画
電気事業法に基づき電力広域的運営推進機関に提出する、今後10年間の電力の需給見通し、発電所の設置・開発予定、送電網の整備等をまとめた計画のこと。
太陽光発電設備を運転する者のうち、発電出力の合計が1万kWを超えるなど、一定の規模の条件に該当する事業者は、発電事業者として所定の届出を行い、電力広域的運営推進機関に毎年供給計画を提出することが義務付けられる。
自家用発電所運転半期報
出力が1,000kW以上の発電所(太陽光発電設備を含む)を設置・稼働させている事業者は、年2回(半期に1度)自家用発電所運転半期報を地域の経済産業局(経済産業省管轄)に提出する必要がある。
所定の様式(エクセル)に発電所の出力や発電量を入力し、担当局にメールで送信することによって提出する。