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太陽光発電投資の融資のポイント

公開日:2021年02月19日

 太陽光投資の初期投資額は案件によっても異なりますが、低圧の太陽光発電設備でも1000万以上~、高圧は数千万円、数億とまとまった金額が必要になります。そこで検討したいのが、融資の活用です。





1.太陽光発電の融資とは


 太陽光投資を行う上で、ポイントになるのが融資の活用です。うまく活用すれば収益性を高めたり、手元資金を残しながら投資を行うことが出来ます。融資の主なメリットとデメリットをまとめました。


(1)メリット


 太陽光投資を融資で行うメリットは、手元資金が少なくても投資が出来る点です。もしくは、現金を手元に残して置きたいといった場合にも融資を活用したいところです。また、借り入れにより投資の収益性を高めることが出来るのも大きなメリットです。これをレバレッジ効果と言います。例えば太陽光投資の土地や発電システムの投資に3000万円かかる案件があったとします。(諸経費やランニングコストはかかりますが、レバレッジ効果の説明のためここでは計算に含めていません)。一般的に太陽光発電投資の利回りは10%前後と言われています。自己資金3000万円で太陽光投資を行った場合と自己資金1000万円で融資で2000万円を賄って投資を行った場合を比べると、自己資金が少なくなるほど投資の利回りは上昇することになり、自己資金に対する収益性は上昇することになります。


(2)デメリット


 一方、融資により太陽光投資を行った場合のデメリットは借り入れた金額に対して金利がかかることです。自己資金で賄った場合に比べて支払う金利分だけ収益性が減少します。たとえ0.5%の金利の違いでも返済期間が15年前後と長期になるので、支払う金利も大きく変わってきます。金融機関によっても金利や借り入れの年数など融資の条件は異なりますが、一般的な傾向として収入や担保の有無など審査の条件が厳しい金融機関の方が、金利は低くなる傾向があります。


 また、融資はあくまで借金ですので、返済は毎月の返済日には遅れることなく、返済する義務が発生します。原則論として返済が滞った場合には、担保の差し押さえや一括返済を求められる場合があるため、自己資金だけで投資をした場合に比べて、返済の義務と責任がついてまわる点は留意したいところです。


2.融資の審査について


 融資を受けるためには、金融機関の審査に通らなければなりません。審査が通らなければ希望した金額を借り入れることが出来ない場合や融資そのものが受けられません。融資の審査についてポイントを解説します。


(1)属性について


 融資の際にまず重視されるのが、投資家の「属性」です。「属性」とは投資家の収入や勤続年数、職業、保有している金融資産や不動産、担保の有無や担保価値、家族構成など融資された資金がきちんと返済されるかどうかを金融機関が判定する際の情報として使われます。


(2)信用情報


 信用情報とは、クレジットカードやローンの契約に関する情報のことで利用の残高や返済の遅延など支払いに関する情報のことです。信用情報は、業界ごとに専門機関により、管理され加盟業者は必要に応じて参照することが出来ます。信用情報は専門の機関により管理され、金融機関は必要に応じて照会出来ます。例えば銀行の顧客の信用情報は全国銀行個人信用情報センター、信販会社はCIC(CREDIT INFORMATION CENTER)により管理されています。


(3)担保


 太陽光投資の融資は、金融機関によって条件は異なりますが、無担保でも借り入れることが出来ます。ただし、金融機関によっては不動産などの担保の提供を求められる場合があります。担保付きの融資は無担保に比べて総じて金利は低くなります。


(4)金融機関は何をみているか


 融資の審査の際は、あなたが申し込んだ金額を属性や信用情報などをあらゆる角度から精査し、返済能力があるかどうかを判断します。あなたの職業が安定した収入のある雇用形態かどうか、過去にクレジットやローンで返済の焦げ付きなどはないかどうか、担保を差し入れる場合は担保価値など色々な情報を勘案します。そして返済能力があると認められたら次は、申し込んだ融資額に対していくらまで貸せるかの判定を行います。また、太陽光投資の事業計画がきちんとできているか?や投資家の知識レベルなども勘案されます。


3.融資を受けられる金融機関


 以下太陽光投資の融資は銀行や信販会社など色々な金融機関で取り扱っています。それぞれの特徴やポイントをまとめました。


(1)銀行


 金融機関としてまず先に思い浮かべることが多いのは、銀行でしょう。銀行は金利も総じて低めで全国に支店がある銀行も多いので店舗に相談に行きやすい点もメリットでしょう。ただし、審査はそれなりに厳しい銀行が多いです。都市銀行であるメガバンクは、金利が低く支店網が充実していますが、個人向けの太陽光投資への融資はそれほど積極的ではありません。地方銀行は本支店の営業エリアであれば土地勘もあるので相談もスムーズに出来ます。個人向けの融資もメガバンクより前向きな場合が多いでしょう。


(2)公庫


 日本政策金融公庫の融資は、低金利であることが魅力です。支店網も全国展開しているので、相談もしやすいでしょう。ただし、審査には綿密な事業計画書などが必要になり、ハードルも高く、審査完了まで1〜3ヶ月の時間がかかります。日本政策金融公庫では、環境・エネルギー対策資金として非化石エネルギーの太陽光発電に対して積極的に融資を行っていますので、まずは公庫の低金利融資の活用を検討してみるとよいでしょう。


(3)信用金庫


 信用金庫にもよりますが。信用金庫でも太陽光融資を取り扱っています。金利は銀行や公庫に比べてやや高めとなります。また、信用金庫によっては、対象を信用金庫の会員のみとしています。


(4)信販会社ローン


 信販会社のローンは融資の申込みから実行までが比較的早いのが特徴です。その分金利は高めに設定されています。太陽光投資の事業会社と提携している信販会社も多いため、属性に多少不安があるという方は信販会社のローンの活用を視野に入れるとよいでしょう。


4.融資手続について


 融資の流れは金融機関によっても異なりますが、一般的には以下のとおりです。金融機関に融資を相談→必要書類の作成、提出→審査→融資の実行申込時の注意点などをまとめました。


(1)申込み時の注意


 申込み時の注意としては、まず融資の相談前に事前に投資する物件を決めておくということです。これは、太陽光投資の案件により融資額や見込める売電収入などが異なるため、案件が決まらないと金融機関の融資担当者も相談に乗りにくいためです。提出書類など必要書類は早めに準備するようにしましょう。書類に不備があると時間がかかるだけでなく、審査担当者の心象にもマイナスの印象をもたらしてしまいます。


(2)提出書類などの例


 提出書類は、金融機関によっても異なりますが概ね以下の3点の書類が必要になります。



  1. 借り入れる方の信用状況がわかる書類: 源泉徴収票や残高証明、登記簿謄本など保有資産に関する書類
  2. 太陽光投資の案件の概要がわかる書類: 販売業者の資料や発電施設の詳細な資料、融資認定申請書、工事請負契約書や見積書の写し、設備の仕様が分かる設計書や仕様書などの写し
  3. 事業シミュレーション:事業計画書などの投資に見通しがわかる書類



(3)信用情報について


 信用情報については、可能な限り良いスコアリングとなるように出来ることは準備しておきましょう。例えば使わないクレジットカードは事前に解約したり、手元資金で返済できるローンなどがあれば返済しておき、信用情報をなるべく良くしておくことは審査の際にプラスになります。


5.返済について


(1)固定金利と変動金利


 返済の金利の種類には、金利が一定の「固定金利」と毎月の返済時の金利水準に合わせて変動する「変動金利」の2種類があります。


固定金利は、借り入れ時に金利が固定されるため、将来の金利の変動リスクが無く返済計画を立てやすい点がポイントです。ただし、総じて変動金利より金利は高めとなります。変動金利は固定金利よりも低金利ですが、金利の上昇時には返済金額が上昇することがある点に留意しましょう。


(2)元利均等や元金均等のちがい


 返済時の方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。「元利均等返済」とは、元本と支払利息をあわせた毎月の返済額が均等になる返済方法です。「元金均等返済」とは、毎月支払う返済額のうち、元金が均等となる返済方法です。借り入れ当初は返済額が高く、返済が進むにつれ低くなっていきます。支払総額は、「元金均等返済」の方が少なくなります。


(3)返済の注意点


 返済時に注意すべき点は、まず返済期日をきちんと守る点です。返済が遅れてしまうと遅延損害金が発生したり、延滞として記録され信用情報にも傷がついてしまいます。また、状況に応じて繰り上げ返済をうまく活用してなるべく利息の支払額を少なくするようにすることが太陽光投資の収益性向上に繋がります。


まとめ


 融資は金利コストがかかりますが、うまく活用することにより投資の収益性を高めることが出来ます。本文でも触れたように融資の実行には、時間がかかりますので気になる案件などがあった場合には、早めの金融機関へのご相談をおすすめします。

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