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投資とは

公開日:2021年02月19日

1.狩猟採集社会から農耕社会への移行


 投資の原型としてわかり狩猟採集社会から農耕社会への移行です。狩猟採集社会では、その日に採ったものをその日に食べます。余った肉を塩漬けにとっておくこともあるかもしれないが、それは貯蔵です。
 これに対して、農耕社会では、収穫したものをすべて食べてしまわず、一部を種としてとっておき、翌年再び種を蒔きます。これが投資です。種を蒔いておけば、やがて芽が出て、より多くの収穫となって返ってくる。それを期待して種をまくのです。
 やがて市場経済が発展して収穫は貨幣に変えられるようになりました。そして、農耕だけでなく、さまざまな産業が興り、株式会社などの企業を設立して、さまざまな事業を行うようになりました。しかし投資の本質は変わりません。それは、将来より大きな収穫(収益)を得るために、今、資金を投じる、ということです。


2.投資の外部性


 投資は、投資した本人に金銭的な利益をもたらすだけでなく、投資先の事業を通じて社会にさまざまな影響を与えます。たとえば投資が新しい技術を生み出せば、いずれは社会全体がその技術の影響を受けることになります。これは、投資のプラス効果です。
 逆のケースもあります。例えば原発への投資は、地元に雇用を生み、産業界や家庭などに電力を供給してきました。しかし、事故によって地域社会は破壊され、産業界も打撃を受けたました。
 このように、経済活動が当事者以外の人に波及的な利益や費用をもたらすことを外部性といいます。近年マスコミ等で目にするようになってきた「責任ある投資」や「ESG投資」など投資の根幹にあるのは、上記のような投資の外部性への配慮となります。


3.責任ある投資「ノルウェー政府グレーバー報告書」  


 会社四季報などの投資本を見ると大株主としてさまざまな日本企業に投資しているノルウェー政府のファンドがこのファンドは、同国の石油収入を蓄えて運用するために1990年に設立されたもので、ヨーロッパ最大級の政府系ファンドです。

 このファンドの特徴は、運用に関する公式のガイドラインを定めているところです。2002年10月、ノルウェー政府は国会の決定に基づいて一つの委員会を設置し、当時の石油ファンドの運用に関して倫理ガイドラインを提案するように要請しました。この委員会は、オスロ大学教授のハンス・ピーター・グレーバーが委員会を努めていたので、グレーバー報告書と呼ばれています。同委員会の報告書の書き出は次のような書き出しで始まっています。


 「ノルウェーの人々は、今、特別な立場にいる。ほとんどのノルウェー人にとって、物質的な意味で生活がこれほど恵まれていたことはなかった。ほんの30年ほど前に見つかった石油とガスのおかげで、最近の数世代の人々は、かつてない豊かさを享受している」。そして次のように続けるいます「繁栄には義務が伴う」と。


 「石油とガスは有限なので、たまたま掘り当てた数世代の人々だけが利益を得るのは公正でない。これらの資源から得られる富は将来の世代も利用できるように保護されるべきだ。だから石油収入を原資にファンド作り、運用しているのである。」同報告書は、現在の反映が地球資源の浪費と資源環境の侵食の上に成り立っていることを指摘しています。一方で世界の地の地域では今でも多くの人々が貧困と困窮のなかで暮らしている。しかも、このギャップを埋めるために、貧困国が先進国と同様の経済発展や技術開発を模倣しようとすれば、地球の生態系はその負荷に耐えられそうにない。


 このため、もし私たちが地球の資源を公正に分かち合い、将来世代の繁栄を危機にさらすことを避けようとするならば、富を生み出し分配する今のシステムが問題になる。北海の石油から得る富を使い尽くしてしまわないことが自国の将来の世代に対する責任だとすれば、持続可能な経済をつくることも同様に私たちの責任だとしています。


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