太陽光発電投資のデメリット
前のページでは太陽光発電投資のメリットを上げてきました。しかし、投資ですからデメリットやリスクも当然あります。太陽光発電投資のデメリットやリスク及びデメリットやリスクへの対応を紹介します。
1.太陽光発電所投資のデメリット一覧
1-1.FIT後の売電価格が不透明である(制度リスク)
FITでは50kW以上の太陽光発電の場合、20年間電気の買取価格が決まっていることは前に書きました。しかし、この20年が過ぎた後、発電した電気をいくらで買い取ってくれるかは決まっていません。20年後太陽光発電が不要になることは非常に考えにくいですが、20年後もどの程度の利益を出し続けることができるのかが分からないデメリットがあります。
1-2.悪天候により発電量が少なくなる(天候リスク)
太陽光発電は太陽の光で発電するものですから、夜は発電しないことは織り込み済みです。しかし、昼間でも雨や曇りの日では発電が少なくなってしまいます。つまり、太陽光発電は天候に影響を受けます。天候の悪い日が多い年だと年間の発電量が少なくなるデメリットがあります。
1-3.自然災害を受けることもある(自然災害リスク)
モジュール(パネル)は雨で故障することはないが、パワーコンディショナーなどの設備は浸水すると故障してしまいます。また、予想外の強風に吹き飛ばされたり、逆に物が飛来してきて壊われたりという可能性もないわけではありません。つまり、台風、大風、津波、洪水、浸水などの自然災害を被るかもしれないデメリットがあります。
参考:自然災害リスクを事前に回避するハザードマップを活用する(準備中)
1-4.出力抑制を受けると発電できない(出力抑制リスク)
電気は常に受給と需要、つまり発電量と消費量がバランスしていなければなりません。地域の発電量が多すぎれば、発電量を減らすために、発電設備の一部を停止する処置がとられます。これを出力抑制といい、電力不足による停電とは逆の現象です。
今までは離島などの電力消費量の少ない限られた地域で起こりました。しかし、他の地域で起こらないという保証はありません。出力制御が行われると、その間発電ができないというデメリットがあります。
1-5.設置場所によっては工事費がかさむ、連系時期が遅れ発電の開始が遅れる
太陽光発電設備は電力会社の送電網(系統)につながなければなりません。しかし、場所によっては送電網が近くにないこともあります。遠くの送電網につなぐには工事が必要になり、その費用が余計にかかるというデメリットがあります。他にも、発電所は完成したが、送電網に接続する時期が遅れてしまうケースすが、発生するケースがあります。この場合、発電開始まで返済を待ってもらえるケースが多いですが、その分金利は余計にかかることになります。
1-6.販売会社とのトラブルの可能性も
太陽光発電投資はまだ歴史が浅いです。それだけに良くない会社がが進出しやすい業界といえるかもしれません。悪徳業者とまでは言わないまでも、業者自身が十分な経験や知識、ノウハウを持っていないケースも考えられます。
そのために、不具合や故障が続発したり、業者が倒産したりというトラブルも想定されます。もし、そのような業者に遭遇したときは、トラブルで収益を損なうデメリットもあります。
2.太陽光発電投資のデメリットへの対処、リスク回避
デメリットの項目がたくさんあるからといって投資に向いていないと判断するのは早計です。重要なことはデメリットを正しく理解して、それを補う処置をとっておくことや損失が起きる確率と影響を理解して損失制御(損失を少なくる対策)やリスクの移転(保険加入など)を検討しておくことです。
このように適切に対処することで、利益を確実に積み重ねていくことができます。以下、デメリットに対する対処を解説します。
2-1.FIT後の不透明(制度リスク)への対処は、早期に投資回収
FIT後、つまり20年後に太陽光発電の売電価格がいくらになるか確かなことは分かりません。20年後の売電価格を心配するのではなく、それまでに投資額を回収してしまうことです。大まかにいって10年前後で初期費用を回収し、残り10年間の売電収入で儲けを生むように計画します。そうすれば20年度の売電価格の不透明を心配する必要は小さくなるでしょう。
2-2.天候の影響(天候リスク)は長期間のシミュレーションで対処
天候は人の力ではどうすることもできません。かといって何もしないのではデメリットを補うことはできません。計画地域の長期の日照時間の推移を確認しておくことでデメリットを正しく評価できます。年によるバラつきはありますが、5年、10年のスパンで見れば日照時間に大きな変化はありません。もっと長い目の20年、30年といったスパンで傾向を見ておくと、この先の長期的な日照時間の予測精度が上がります。このような予想を計画に盛り込むことによって、天候の影響も想定内となり、悪天候で当初の利益計画が狂ってしまったと慌てなくてすむでしょう。
参考:気象庁のデータを使って超長期の気象観測データを分析してみた(準備中)
2-3.自然災害(自然災害リスク)には損害保険もあり
太陽光発電設備が自然災害を受けたときに補償してくれる保険の1つは、企業総合保険があります。火災や風災から盗難や偶発的な事故による破損まで補償されます。これは火災保険の企業版であるため、火災保険と同様地震や津波などによる損害は補償の対象外です。実際に加入するかどうかは、ハザードマップなどから分る災害の可能性と保険料額とのバランスになります。
2-4.出力抑制(出力抑制リスク)の可能性は少ないが保険もある
出力抑制への対処としては、出力抑制の可能性の少ない地域で計画することです。東京電力、中部電力、関西電力は出力制御の可能性を公表していません。出力抑制を被ったときの損失を補填する出力抑制保険に加入する方法もあります。しかし、その可能性は少ないため加入するかどうかは、保険料額とのバランスです。
2-5.設置場所は事前に調査する
太陽光発電設備の設置場所を決める前に一度現地調査をしておくことで、追加の費用が必要か、トラブルの可能性があるかなどを知ることができます。送電網までどのくらいあるか、土地は造成する必要があるか、除草の必要があるか、農地の転用などの問題はないか、アクセスは容易か、盗難や安全に問題がないか、近隣に住宅があるかなども費用に影響する場合があります。また系統連系の時期は、通常販売会社等が電力会社と調整を行っているので、窓口の営業担当者が社内の電力会社との調整担当等と十分に調整を適切に行っているか、適宜確認して、連系時期が送れないようにフォローするとよいでしょう。
参考:太陽光発電所投資物件選びのポイント
2-6.販売会社とのトラブル回避
販売会社とのトラブルを回避する手段は、販売会社を見る目を養うことです。特に販売会社が設置工事を行っている場合で、工事の途中に倒産すると大変なことになります。数社から見積もりを取ることは当然ですが、価格だけにとらわれず太陽光発電の実績数を比べるのも1つの方法です。また、太陽光発電のセールスをするとき、デメリットなどもありのまま説明してくれる業者なのか、メリットばかりを強調する業者なのかも大事なところです。また業者が倒産するリスクもあるので、なるべく長く事業を営んでいる会社を選ぶことも重要です。
参考:太陽光発電所投資物件選びのポイント4.太陽光発電設備施工業者を選ぶポイント