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太陽光投資用語(土地・土木編)

公開日:2021年04月19日

地目

雑種地(地目)

 不動産登記法に定められた23種類ある登記上の地目(土地の用途)のうち、他の22種類の地目のいずれにも該当しない土地に付される地目。太陽光発電設備を設置する土地は、原則として雑種地に該当する。
登記上の地目が異なる場合には、発電設備を設置した後に地目変更登記を申請することが必要となる。

山林(地目)

 不動産登記法に定められた23種類ある登記上の地目(土地の用途)のうち、耕作の方法によらずに森林、竹林が生育している土地に付されるもの。森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地は「保安林」とされ山林と区別される。
 地目が「山林」となっている土地に太陽光発電所を設置したときには、「雑種地」への地目変更登記が必要になる。

農地転用

 農地を売買、賃貸するときには農地法に基づく農地転用許可を取得する手続きが必要となる。この手続きを総称して「農地転用」または「農転」という。
 農地法では、周辺の土地利用状況や農地の優良性により農地を「農用地区域内農地」、「甲種農地」、「第1種農地」、「第2種農地」、「第3種農地」区分しているが、第3種農地以外に指定された農地は極めて例外的な要件を満たさない限り、農地転用が許可されない。
 現況で農地である土地のほか、登記上の地目が田、畑になっている土地について太陽光発電所として利用するために売買、賃貸を行うときには農地転用許可の手続きが必要になる。

土地利用契約

土地賃貸借契約

 民法第601条に基づき、当事者の一方が相手方に土地を利用させることを約し、相手方はその対価として賃料を支払うこと、および契約期間満了後土地を返還することを約することによる契約。
土地利用契約の中では最も一般的な契約で、他人の土地に太陽光発電設備を設置する場合にも広く用いられている。
 土地上に太陽光発電設備を設置する場合には、契約期間をFIT期間に合わせて20年とすることが多いが、民法上土地賃貸借契約の契約期間は20年を超えることができないため、工事期間中の賃貸借契約書は別に作成されることがある。
 賃貸借契約は当事者間のみに効力を有し、賃借権登記なくして第三者に賃貸借契約の内容を対抗できない。

事業用定期借地契約

 借地借家法に基づく借地契約の一つで、専ら事業の用に供する建物を所有するために締結される借地契約。
普通賃貸借契約の場合には、賃貸借契約の更新拒絶には正当事由が必要となるが、定期借地契約の場合には期間満了時に当然に土地の明け渡しが必要となる点が異なる。
太陽光発電設備を設置する場合には、「建物」を所有する目的ではないために、事業用定期借地契約を締結することはできない。

地上権設定契約

 民法第265条に基づき、工作物や竹木を所有する目的で他人の土地を利用することができる権利。
物権としての性格から当然に登記請求権が発生すること、所有権者の承諾なくして賃貸、譲渡が可能であること、最長期間の定めがないことなどの特徴がある。
太陽光発電所を開発するときには土地利用の期間が工事期間を合わせると20年を超えること、発電設備を売却することで土地利用者が変わることが多いことなどを理由として、地上権設定契約が広く利用されている。

設置形態

ソーラーシェアリング

 農地の上部の空間を利用して太陽光発電事業を行うことで、農業と太陽光発電事業を両立させる仕組みのこと。営農型太陽光発電とも呼ばれる。農地に特別な架台を立て、日光が入るようにモジュール間の距離をとって設置する。設置に当たっては農地法上の一時転用許可を取得し、事業期間中営農を継続する必要がある。

屋根借り太陽光発電

 事業者が、他人が所有する建物の屋根を利用して太陽光発電事業を行うこと。工場や倉庫、公共施設の所有者と事業者が屋根の上を利用するための賃貸借契約等を締結し、屋根上に太陽光発電設備を設置して発電事業を行う。数年に一度の屋根防水工事や大規模修繕時には、いったん発電設備を取り外して保管しておく必要があるために、事業計画の立案については通常の太陽光発電事業とは異なる配慮が必要となる。

フロート式太陽光発電

 湖沼や貯水池等に太陽光パネルを浮かべて太陽光発電事業を行うこと。プラスチック製の特殊なフロート架台を浮かべて、その上に太陽光パネルを設置する。パワーコンディショナーやキュービクルなどの付属設備は陸上に置かれ、防水ケーブルで接続される。
 水面上で発電されるために、夏の間でも温度上昇の影響を受けにくく発電効率が良いとされる一方で、大型台風の際にはフロートごとパネルがめくれてしまうなどの事故が報告されている。

関連法

国土利用計画法

 適正かつ合理的な土地の利用を推進するための法律で、一定以上の広さの土地の売買契約、賃貸借や地上権の設定契約、譲渡担保契約などを締結したときには、原則として事後的に市町村の役場を通じて都道府県知事に届出を行う必要がある。
 メガソーラーを建設するときには、土地の広さの要件(市街化区域2,000㎡以上、市街化区域を除く都市計画区域5,000㎡以上、それ以外の区域10,000㎡以上)に該当することが多く、国土利用計画法に基づく届け出が必要となる。
 都道府県知事は、届け出があってから3週間以内に土地の利用目的について必要な勧告や助言を行うことができる。

森林法

 森林に関する基本法で、主に森林を保護、監督するための行政規定と、許可に基づかない森林開発や樹木の盗伐などを取り締まるための刑罰規定から構成される。
 特にメガソーラーを建設するときには、森林による影の影響を排除するために森林の伐採が行われる場合が多いが、樹木の伐採や森林の開発を行うためには、森林法に基づく林地開発の手続きが必要になる。

林地開発許可

 森林法第5条に規定する民有林(保安林等を除く)について、1haを超える規模(専ら道路の新設、改修を目的とするもので1haを超える規模のものについては道路の幅員が3m以上の場合)の土石や樹木・樹根の最終、開墾、その他土地の形質を変更する行為を行うときには、都道府県知事に対して森林法に基づく開発申請を行い、許可を得る必要がある。これを林地開発許可という。
 主に太陽光パネルにかかる影の影響を軽減したり、自営線を連系点まで引くために道路を作って森林を開発したりしなければならない時に林地開発の許可が必要となる。


測量・調査

簡易測量

 既存の公図、測量図等をもとに現況の境界杭、構築物、ブロック塀などの位置から土地の面積(地積)を測量すること。隣地との境界の確定は行わない。仮測量と呼ばれることもある。
 広大な土地を利用して行うメガソーラーの建設の際には、近隣土地所有者が非常に多くなり権利関係が複雑であることも多いことから、境界確定は行わず簡易測量で済ませることも多い。

境界確定測量

 隣地の所有者と境界を確定して行う測量。公図、地積実測図等を基に境界点を明らかにし、境界杭・境界標を設置して、隣地所有者との立ち合いのもとに境界を確定していく。
 境界確定の際には、土地家屋調査士が作成した境界確定図や境界確定書に隣地所有者全員の記名押印がなされ、登記を行う。隣地所有者が民間人の場合には「民民確定」、道路や公有地との境界確定の場合には「官民確定」と呼ばれる。

ボーリング調査

 地盤調査を行う方法のひとつ。地面に円筒状の穴を掘削し、約1メートルごとにN値(地盤の強度をあらわす単位。)を計測し土のサンプルを採取する方法によって、地盤の強度や支持力を調査する。
 構築物によって、どのぐらいの深さまで調査するかは異なるが、太陽光発電設備を設置する場合には架台杭の深さ(1mから2m)の地盤強度が判明すればよいために比較的浅めのボーリング調査で足りる。ボーリング調査によって得られた地質(泥炭地、砂礫地など)やN値によって適切な架台杭を選択する。

地盤調査

 想定する構造物が耐えられるかどうかを判断するために、地盤の構成(人為的に堆積させた地層か自然に形成された地層か)、地盤の強度・支持力、土質など地盤に関する情報を収集する調査。スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)、スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)、ボーリング調査(標準貫入試験)などの方法があり、構築物の種類、規模などによって使い分ける。

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